名探偵の掟



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本格推理小説のあり方を問い直す東野圭吾的「講義録」がここに!

 本書は、本格推理小説を飾る「密室」や「トリック」、「アリバイ宣言」、「ダイイングメッセージ」など、今では多くの読者にお決まりの「工夫」・「小細工」をめぐって、名探偵と称される天下一大五郎(彼が「密室アレルギー」という点で読者は失笑している)と(本当はそうでないが)脇役の大河原番三警部との軽快でユーモアに満ちたやり取りを踏まえてのある種の「講義録」のように私には思われた。

 本書には、既存の推理小説のあり方を作者自身が「メッタ斬る」という姿勢が全面に押し出されるとともに、読者にも本書で扱われている内容を通じて(それらについて)再考してほしいという熱い願望が込められており、大いに読者の「食欲をそそる」内容だ。読者が「試されている」といっても過言ではない。巻末に付されたやや論文的な「解説」(脚注付き)も本書の位置づけや、東野圭吾の作風の変化についての有益な内容を含んでいる。目次をざっとみれば、プロローグからエピローグに至る全12章の内容は、推理小説のモチーフを類型化し、更にそれらについて名探偵と警部が辛辣な意見交換を繰り広げているというプロットそれ自体に読者は心を揺さぶられる。彼らの会話の多くに、私は「腑に落ちる」というか「教えられる」感覚だった。

 第5章「アリバイ宣言」に登場する犯人の名前が「蟻場耕作」というのは滑稽で、しかも天下一はその彼が考案した完璧なアリバイトリック崩しを放棄し、犯人から「ちょっと待って下さいよ。ヒントを出しますから」という痛快な展開である。続く第6章で天下一が今度は美人OLに転じているのも面白い。特に本章は現代批評的な趣があった。「最後の選択」で読者は思わず唸るだろう。名探偵を「犯人」にしてしまうという残された唯一の選択肢の意味について。『名探偵の掟』というよりは、『名探偵の宿命』というところか。東野圭吾の「挑発的な」本書は怠惰な読者を覚醒させるに違いない。

初心者にもOK

むしろ、「本格ミステリ」入門書として読みました。
がちがちの「本格ミステリ」というのがどうも苦手で(お約束ごとが沢山あるイメージ)、それまで敬遠していたのですが、たまたま手に取ったこの文庫のおかげでいろんな「お約束」を学習することができました。
小説としてもすぐれているのですが、探偵小説の解説書としても大変すぐれていると思います。
おかげで、今、ミステリー小説にハマっています。

座右の書です(恥ずかしながら)

 こういう本が「座右の書」だなんて、ミステリーファンに叱られそうだし、東野圭吾の熱烈なファンには呆れられそうだが、私はいつも手近に置いていて、頭を休めたい時、気分転換したい時に、拾い読みしている。短編集だから、その時の気分に合った話を読めるのも手頃だ。

 密室、孤立した別荘、ダイイングメッセージ、アリバイトリック、などなど、いわゆる本格ミステリーの定番の設定をネタに、名探偵・天下一大五郎と、相棒の大河原警部が、事件を解決しつつ、時々、本筋から離れて、「ミステリーの楽屋裏」について、ぼやいたり「登場人物の本音」を言い合う。その「漫才」の部分がとにかく可笑しい。

 パロディ精神とユーモアにあふれた、バカバカしい本だが、案外、東野圭吾の本領はこういう所にあるような気もしている。彼はシリアスな大作路線で売れてしまった感があるが、もう一度、本格でなおかつユーモアミステリー、というような作品にも挑戦してほしい。
東野作品を読み進む上で参考になる作品

天下一探偵と大河原警部が数々の事件に挑む。だが、彼らは度々小説世界を抜け出し
本音を語る。『そんなはずないじゃないか・・・』と。
本作は推理小説のさまざまなカテゴリ、そこに内在する暗黙の了解と限界等を示した
上で、ばかばかしく、しかしながらまじめに話を展開してみせる。この風刺めいた
感覚は、自身も含めたあまたの作家と、斜に構えた我々読者に向けられたものである。
そこには本当の推理小説がもつ醍醐味や味わい方を忘れかけている我々へのメッセージ
がこめられているのではないか。
だが、東野圭吾の凄いところは、ただ批判するのではなく、自身でそれに対する答えを
提示している点だろう。解説の村上氏が整理してくれているように、『悪意』や『どちら
かが彼女を殺した』は確かにこの短編に収録されているエピソードに対する作者自身の
ひとつの答えであった。
こうなれば他の『答え』も読むしかないではないか。
ミステリーを愛する人への贈り物

好きだからこそ意地悪したい。大好きだから茶化したい。作品を発表するごとに、ミステリーの枠を押し広げていく東野氏の、ある意味アブナイ連作短編集。
ミステリーという分野を象徴する「密室」「フーダニット」「アリバイ崩し」などのトリックをひとつひとつあげつらい、徹底的にいじり、茶化し、笑いのめす。時代遅れで非現実的な密室殺人は、同じく笑える肩書きをもつ「名探偵」も推理するときは恥ずかしいんだなぁ。
「それを言っちゃあおしまいよ」という、ミステリーのタブーに果敢に挑んだ東野氏の勇気と稚気とミステリーへの限りない愛情がひしひしと伝わってくる名作。ミステリーが大好きな人のための最高のプレゼントです。




講談社
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